タイのまだ生きている人の葬式の怪

日本では普通というか、当然のごとく死んでから葬式をする。
タイでは死んでからもするのだが、瀕死の状態でまだ生きている時から葬式をするというぶっとんだ習慣がある。
タイの葬式は普通は三日とか四日とか連続でして長ければ一週間ぐらいする。
そして一日に二回とか三回葬式をしたりする。
まだ生きている人の葬式に何度も出席したことがある。
大概はまだ生きているといってもほとんど動かない状態になっているので、意識がない人もいるとは思う。
数日前に出た生きている人の葬式では、まだ意識があって支えてもらえば立つこともできたし、腕も動かせたし、声を出すこともできた。
意識があるのに葬式をされる。
死の宣告をされるわけで、日本人の感覚ではむごい気がする。
その人は生きている葬式をされた翌日に本当に亡くなった。
生きている葬式をされた人は即日だったり翌日だったり、長くても一週間以内に亡くなっていくのをこの目で見てきた。
ここで疑問がある。
なぜ、この医学が遅れているタイで正確に死ぬ時期を当てることができるのだろうか。
しかも、入院先の病院ではなく、自宅にいて医者も看護婦もついていないのに正確に死ぬ時期を当てる。
(直前まで医者がついていたのかも知れないが)
まあ、正確に死ぬ時期が分からないとまだ生きている状態での葬式なんか間違ってもできないからこの日に死ぬだろうとよほどの自信があって葬式をしているに違いない。
生きている葬式の直後に殺しているのだろうかと疑うくらい正確に死んでいく。
死んでいく人を喜ばせるために生きているうちに葬式をするのだが、生きている葬式をされた人は本当に嬉しいと思うのだろうか。
死ねと言われているようなもんで、いじめにしか見えないのだが。